由利本荘市M様

昨年三月末に御社のツアー企画に厚かましくも家族総出で参加させていただきました。ありがとうございました。
ただ、その際いなほの車中で不覚にも引率の戸賀瀬さんと、年甲斐もなくアルコールをちょっと多めに摂り過ぎてしまいました。
そのため新発田駅に着いたときは、千鳥足のへろへろの体たらくで、担当の東新林業の中村さんには、ずっと大変申し訳なく思っておりました。(そのとき、確かに中村さんの心の舌打ちが聞こえました)
それ以上にせっかくの企画が無為に終わった気がして、非常に悔しい思いをずっと抱いていたんです。

そうした中、「郷の家」で暮らし始めて一年以上が経ち、薪ストーブも2シーズン目を迎えました。
この間、ことある毎に思い、つらつらと考え続けていたことがあったんです。
それは、今まで暮らし続けてきた我が家が、自分が考えていた以上に素晴らしく感じられ、建てて良かった~という実感の毎日でした。

そう考えているうち、もう一度東新林業に行きたい。そこで働く人たちに会いたい。会ってみたい。そしてそこで働いている人たちに少しでも感謝の気持ちを伝えることができたら…と思うようになってきたんです。
加えて、数多あるハウスメーカーの中で、大建さんに施工をお願いしたことが間違いでなかったんだ!ということを自分自身、再確認したかったという思いもありました。
そのことを妻に話しをしたら、私と同じで大変乗り気でした。(ホントは月岡温泉に行きたいという気持ちの方が優っていたのかもしれませんが…)
この際、迷惑をかけることは重々承知の上で自腹を切って、もう一度行ってみようと考えたのです。
戸賀瀬さんに今回の見学についてメールで相談したところ大作社長共々、大変喜んで頂き、さっそく中村さんにワタリをつけてもらいました。

当日は、羽後本荘駅始発の普通列車に乗って(5:29発)酒田からいなほで新潟に向かいました。わかりにくいレンタカー営業所をとろとろ探し、煩わしい手続きももどかしく、妻の手を借りナビのセットが終わるや否や、逸る心はいざ聖籠町へ~。
雲ひとつない素晴らしい秋晴れの越後路をひたすらカッ飛ばして、あっという間に9時半過ぎには夢ハウス東新林業工場に着きました。いやもう気持ちが逸ってたんですねぇ~。
妻と二人して勇んで事務所に挨拶に行って驚きました。
なんと!事務所内の全ての社員が、仕事の手を止めて一斉に最敬礼で挨拶したのです。
これには妻もびっくりでした。ワタシも腰が引けました。後々まで凄いってつぶやいてました。
ワタシは赤塚会長の夢ハウスという企業理念というか、施主に対する思いだとか、提供している材質全てに対する思いだとかの一端を垣間見たように思いました。
そして、それが全ての社員にゆきわたっていることを実感したのです。

驚きと感動を引きずりながら、挨拶もそこそこに早速、中村さんから案内をしてい頂きました。
少し歩いたところにオレンジ色のビニールに包まれた部材が目に入りました。近寄って良く見ると、「鳥栖郷の家モデルハウス」と読めました。
中村さんによると、鳥栖のパートナー会社が新たに郷の家のモデルハウスを建てるんだとか。
まさにこの場所から全国展開している事実をさりげなく見せ付けられた思いです。

深く感心しながらふと見ると、桟木を挟んで何段にも積まれた米松の柱材が目に飛び込んできました。聞けばドライランバーから出したあと養生させているのだそうです。
中村さん曰く、木はドライランバーでいくら乾燥させても、どうしても歪みや反りがくるということで、外に出して雨風に晒しながら三週間かけて養生させるのだそうです。そうして落ち着いた後、きちんと直角を出して製材するということでした。
夢ハウスの手間を惜しまない丁寧で、なおかつ木の特質を熟知した仕事ぶりと、出来上がった製品に対する絶対の責任感に触れた気がして、またまた感動してしまいました。

次はその木材乾燥機・ドライランバーです。
何と言っても、この機械があったればこその夢ハウスです。これが無ければ無垢の家の完成が成し得ないわけで、謂わば夢ハウスの象徴であり、要とも言える存在です。
近寄って見るとその長さに圧倒されます。なるほど、この長さなら小屋裏までの通し柱もガッツリ乾燥可能だと、独り納得してしまいました。
ここは、前回のツアーでかろうじて記憶に残っていた部分です。
あのときは扉から水蒸気が少しだけ出ていたと記憶しておりましたが、今回は窯出しする直前の状態なのか、水蒸気はほとんど出ていないように見えました。
そのためもあって、内部の構造を良く見ることができたのはラッキーでした。
ボイラーからの熱風が吹き出すダクトが両側に確か四本ずつ上下に口を開けて設置されていたと思いますが、それが互い違いになっていて、効率良く内部の部材全体に熱風が行き渡る構造になっています。 なるほど、特許が取れる訳ですなぁ。ボイラーの炎と熱風の制御をどうやっているのか気になります。

また、内部の真っ黒なヤニが思った以上に盛り上がっていて、老婆心ながらもこのヤニをどうやって撤去するのかとふと、疑問に思いました。その場で中村さんに聞けば良かった…残念!
積まれた米松の木口を見ると、黒っぽいシミが見えます。そのことに気付いた妻がソッコー聞きました。そしたら、ヤニとは違う成分なんだそうです。その名称を失念しました。あぁボイスレコーダーがあれば…。

乾燥機担当の社員お二人は中村さんが私達に説明している間、私語もなくきちんと立って対応しておりました。
そんな姿を見て、自分の仕事に誇りを持っているんだなって強く感じました。自分の仕事に誇りを持っている人は、とても素敵です。なんだか二人が物凄く羨ましく思いました。

次に二棟ある工場のうち、事務所から見て右手の工場に案内されました。
ここは前回端折られた箇所です。
入口手前に乾燥を終えた土台のヒバが桟木に挟まれて積まれていました。木口を紅い塗料で保護されてます。そこらへんにヒバの良い香りがしております。う~ん思わず深呼吸。
中に一歩入ると、ここにも桟木に挟まれた米松がど~んと積まれておりました。
さらに目を転ずると立派な梁が何本も横たわっております。
木の良い香りの中、歩を進めると保護紙に包まれた北山杉が数本横たわっているのが見えます。どれも一尺を超える立派なものです。
思わず中村さんに「また神社・仏閣を建てるんですか」と聞いてしまいました。
そしたら「いえ、個人です」とあっさり返されました。
どんな人がこの材を用いて、どんな家を建てるのかと思いを巡らせて、溜め息が出てしまいました。
ここは、養生後の部材を最初に加工する工場らしく、若い職人が治具を使って手際良く大引きの断熱材受けを取り付けていました。
その奥では、ブリケットを自動で作る機械が稼働しております。
HPのユーチューブで見たことはあるものの、実物を目にしたのは初めてです。
中村さんによると、おが屑に混じった余分なゴミを取り払った後、機械で圧力をかけて作るそうです。すぐ近くにはビニール袋に入った数十のブリケットが台車に積まれていました。
こそっと妻が、お土産代わりに一袋くれないかなと、私にささやきました。同感です。

次にドライランバーを迂回して、もう一つの工場に向かいました。
途中、ドライランバーの後部の扉が少し開いていたのを見て、私の好奇心のムシが騒ぎ立ちました。
そっと近寄ったら、すかさず中村さんがその扉を全開して中を見せてくれました。ラッキー!
コンピュータのタッチパネルを想像していたんですが、意外にもシンプルな造りでした。炎の状態、ダクトの温度、熱風の具合をそれぞれ手作業でコントロールしているそうです。
職人の勘どころが肝なんですなぁ~。
中村さんが言うことには、今まで三回火事を出したとか。なんでも、ボイラーの加減がわからず手探りの状態からのスタートで、ダクトについても試行錯誤の連続だったそうです。
う~ん。特許の裏には、様々な失敗の積み重ねがあったんですなぁ~。

工場の中では、年配の職人が太い丸太に跨って独り黙々と鑿で細工をしておりました。
見れば木肌の美しい北山杉です。棟梁は(勝手にそう呼びます)梁のホゾ受けを加工しているようです。
不躾だとは思いましたが、鑿やら鋸やら鉋やらの道具を見て回りました。イヤだったでしょうなぁ~。スミマセンでした。ここに棟梁お手製の掛矢が転がっております。
家に栓の木がまだ残ってる。よ~し、あれを使って一丁俺も作ろうってつぶやいてしまいました。見れば、奥にウマ台もあります。こいつも作っちまおう!参考に不躾ついでの写メを。

棟梁の不機嫌そうなオーラを背に、恐縮しながら隣の工場へ…。
ここでは最近、小学生相手の工場見学でもあったかのように、屋根勾配の骨組みの模型やら、土台や柱の端材がきれいに並んでいました。
その端材を眺めていた妻に、中村さんから「どれでも好きなの持って行っていいよ」の声。すると、待ってましたとばかりに、妻がソッコーでヒバのデカイのを躊躇いもなく二つ抱えました。身体以上に目が肥えてます。

端材の隣に置いてあった通しホゾの模型を手に、中村さんから夢ハウス独自の通しホゾについて、説明を受けました。
確か夢ハウスのカタログにも載ってました。
しかし、実際こうして見てみると改めて夢ハウスの家造りに対する真摯な姿勢が窺えます。
腰掛鎌継のオスとメスがズラッと並んだ脇を通ると、プレカットマシーンの御目見得です。
プログラムは、事務所内の担当者が各物件の設計図に基づいて作成しているということでした。どの部分をどの刃物で削るかもプログラムしてあるそうで、見ると先端の刃物の交換も機械が勝手に行なっていました。
一瞬、そのプログラミング作業も見たいと思いましたが、口に出すのが憚れて、言うのをやめました。
ふと見るとデカイ台車の土台にヒバを使っているじゃないですか!なんて贅沢な土台だ!でも、これも適材適所の使い分けですなぁ~。

ひと通り見て、肌で触れて、その雰囲気を感じて口をついて出てくる言葉は、
スンゲェ!サスガ!なるほど!やっぱり!んだなが~!

スイマセン陳腐な言葉しか出て来ません。でも、工場見学した万人が共有する言葉でしょうよ!
二回も見に行くバカは、そういませんよ~!そのバカと今後共よろしくお付き合いのほどを~!

薪棚に 憩うタバコの一服に
耳をすませば 薪のささやき